#02「環境エンリッチメントとしてのトレーニング」

トレーニングって言うと皆さんはどんなイメージをお持ちでしょうか?
今日は猫のトレーニングについての私の考えを書こうと思います。

まず何のためにトレーニングするのでしょう?
それはまぎれもなく【猫のため】です!
室内飼いで、感染症や交通事故などの心配が無く、飢えや寒さに苦しむ事も無い。
それは猫にとって幸せな生活の第1条件でしょう。
しかしQOL(生活の質)を考える時、それだけで良いのかな?と疑問が出て来ます。
より充実した生活、楽しい生活、って何だろう?
そう思った時、猫たちから狩りの楽しみを奪った事に思い当たりました。
オモチャで遊んであげる事の大切さは言うに及ばずですが、年齢を重ねた猫たちはそう簡単にオモチャに夢中になってくれるコばかりではありませんよね?
(もしオモチャで夢中になって遊んでくれるのであれば、それはきっとあなたの遊ばせ方が上手いからです!)

猫が狩りをする事は本能です。
本能に基づく行動は誰でもしたいものなのです。(猫とか人間とか関係なく全ての動物がと言う事です)
1番強い本能は「繁殖本能」。
でもこれはほとんどの場合人間の都合で不妊手術をされているので無しですよね。
2番目が「危機回避本能」。
怖い事から逃げたい、危ないようなら隠れたい、と言う安全を求める本能です。
追い詰められれば戦う、これも当てはまります。
そして3番目が「捕食本能」。
不妊手術をして室内で危機にさらされずに平和に暮らしている猫にとって、1番楽しい行動は捕食本能と言う事になります。

と言う事は、捕食本能である狩りを疑似体験させてあげるのが猫にとっての楽しい生活と言う事になります。
「狩り」を体験させてあげたくても、まさか獲物を提供する事は出来ないし、オモチャではなかなか遊んでくれない。
としたらそれと同じような効果のある事を、別の方法で猫に提供することが望ましいわけですよね。
クリッカートレーニングはまさにその方法なのです。

クリッカートレーニングと狩り(捕食本能)の共通点は、自分が何かをして成功すると欲しい物が手に入る、と言うところです。
狩りは生得的な行動ですが、経験による学習で洗練され上手になっていくものです。
それと同じことで、様々なトレーニングはほんの少しずつステップアップしていく事で、猫に自信とやる気を起こさせ、「出来た!美味しい物がもらえた!!嬉しい♪ 嬉しいからまたやろう!出来た!楽しい♪」と言う好循環を生みます。
猫にとってクリッカートレーニングをすることは、楽しいゲームであり、狩りの疑似体験をする事なのです。

クリッカートレーニングでは様々なトリック(芸)が出来るようになります。
なりますが、それは『結果』であって『目的』ではないのです。
何かが出来る様になる事よりも、猫が「何かをしてそれが成功する」という体験をする事に意味があるのです。

(ここで言っている「成功する」とは、欲しいもの(オヤツ)が手に入る事です)
オモチャで遊んであげる時も簡単に捕まったりほとんど捕まらなかったりするのではなく、微妙に難しいくらいだと猫は1番やる気を出して捕まえようとします。
それと同じようにちょっと頑張ればできるくらいのことを目標に、一日2〜3分一緒にゲームをしてあげる感覚で猫とトレーニングをしてみて欲しいと思っています。
それが猫たちの生活にとてもいい刺激になり、充実した楽しい時間になるのですから。